演奏ノート「バッハのドゥーブル」 Violinist’s Notebook: Bach’s Double

バッハの無伴奏ヴァイオリンのための
 パルティータ第1番 ロ短調 BWV1002 

18世紀初め、バッハのケーテン時代に
作曲された6曲からなる無伴奏作品。
その中からパルティータ第1番についてお話します。

この曲にはAllemanda(アルマンド)
Corrente(コレンテ)
Srabande(サラバンド)
Tempo di Borea (テンポ ディ ボレア)

という4種類の舞曲があります。

各舞曲の後に
Doubleという曲が続きます。
このドゥーブルというのは
それぞれの舞曲の変奏曲になっています。

ウィーンのピアノの巨匠
イェルク・デームス氏の説によると
かつてのイギリスなどでは各舞曲の
それぞれの前半のリピートの代わりに、
Doubleを弾いて、そして舞曲の
後半を弾いてそのリピートは
またDoubleの後半というやり方が
あったそうです。
そういう風に弾かれているのは
聴いたことがないですが、、、
曲によっては
それも面白いですね。

それからこの6曲の
無伴奏ソナタとパルティータの
自筆譜が残っているのは本当に
嬉しいことです。
でも、バッハは細かい指示はいちいち
書いていないので、
当時の習慣を想像して、
演奏者が補う必要があります。

こちらは初めての動画です。
最初はもっと長く、
いろいろなことをお話していたのですが、
よりわかりやすいよう、
ポイントを絞るうちに、
だいぶ短くなりました。

曲の一部をとりあげて、
演奏に際してのアイディアなどを
お伝えしています。

このパルティータには
Doubleが三曲ありますが、
それぞれの舞曲の曲想やテンポと
同調して弾かれることになると思います。
ですので、サラバンドをどのように弾くかでも
そのあとのDoubleの弾き方やテンポが違ってきます。

私もそれぞれのDoubleは違う弾き方にしています。
こちらの動画のように弾いているのは
2曲目の舞曲サラバンドの時だけです。

それにこういう風に弾いているのは
聴いたことがないので、
一般的ではないかもしれませんね。
でも、ひとつのやり方として
参考にしていただければと思います。

どうぞご視聴いただければ嬉しいです。

なんとなく影響を受けたものが
あります。たとえば、

巨匠ヴァイオリニスト、
ヨーゼフ・シゲティの著書に、
「ヴァイオリニストの覚え書き」というのがあり、
曲の一部の譜例にそれぞれ、
説明がついている、とても実践的な内容です。

また、先達てピアニストの藤井一興先生の
音大の伴奏法の授業で、

ピアノを弾きながらいろいろと解説していくというのが
ありました。曲の背景、技術的な工夫、
理論的なことなど。私はその授業で
デュオソナタのヴァイオリンを共演していたのですが、
曲への理解が深まり、実際的な演奏の方法など、
とてもためになる内容だと思いました。

Erika